〈信仰体験 スマイル 自分らしく〉 私の悩み・・・長男の自閉症スペクトラム障がい 2019年6月14日 脳性まひの夫と共に歩む幸の道
2019.06.14投稿
〈信仰体験 スマイル 自分らしく〉 私の悩み・・・長男の自閉症スペクトラム障がい 2019年6月14日
脳性まひの夫と共に歩む幸の道
先週行われた、北海道の初夏を彩る「YOSAKOIソーラン祭り」。札幌市厚別区の永島春実さん(45)=旭日支部、白ゆり長=は踊り手として、20年以上出演し続けてきた。今年も、長女・実沙樹さん(13)=中学2年、次女・茉奈実さん(10)=小学5年、三女・喜美代さん(7)=小学1年=と共に、舞台やパレードでさっそうと舞った。沿道からは、夫・勝章さん(42)=男子地区副リーダー、長男・英章ちゃん(5)=年長=が声援を送る。この「よさこいソーラン」が、春実さんと勝章さんの出会いのきっかけ。ここから夫婦の絆と信心のドラマが編まれていった。
「よさこい」で夫と出会った
私は小学生の時、ひどいいじめを受けた。“私がダメなんだ”って、いつも自分を責めてた。
そんな時、創価学会の富士鼓笛隊に入った。みんなと池田先生の指針を学んだ。「いじめは、いじめた側が100%悪い」。この言葉に、どれほど勇気をもらっただろう。
「人の役に立つ仕事がしたい」。私に夢ができた。高校を卒業後、働きながらヘルパー1級の資格を取り、介護施設に就職した。
「よさこいソーラン」が大好きな私は、障がい者と健常者が一緒に踊るチームに入った。このチームで出会ったのが、勝章くんだった。
勝章くんは脳性まひで、体を思うように動かせない。言葉もうまく話せない。それでも、誰にも頼らずに1人で練習に来てた。気さくで誰とでも仲良く話す。そんな彼の強さに引かれ、「そばで生きていきたい」と思うようになった。
奮い立たせたなにくそ根性
勝章くんは幼い頃から、米とぎや洗濯などの家事を手伝っていたんだって。健常者の何倍も時間がかかる。でも、その努力が“なにくそ根性”を育てたんだと思う。
結婚の前、彼に「創価学会に入会してほしい」ってお願いした。勝章くんが信心をしたら、より多くの人に希望を送れるはず――。でも思いは、なかなか届かなかった。
人生の大きな岐路に立ち、悩んでいた勝章くんのもとへ、壮年部の方が来てくださった。
「御本尊様が信じれないんかな? それなら一緒にお題目あげるべ」
3カ月間、一日も欠かさず、勝章くんの家に通って、一緒に1時間、お題目をあげてくださった。
祈る中で、勝章くんの体に変化が出てきた。手足の硬直が和らいだり、言葉が出やすくなったり。
信心の力を実感した勝章くんは、入会を決意した。そして、2005年(平成17年)、私たちは同志となり、夫婦となった。
その後、長女の実沙樹が生まれた。私は育休を取り、勝章くんは生活費を工面するため、転職しようと、ハローワークに通った。40社ほど受けたけど、全部不採用……。
会社の方は、勝章くんの姿を見ただけで、門前払い。履歴書すら見てもらえなかった。
悔しくて、勝章くんと泣きながらお題目をあげた。男子部の先輩が会いに来てくれた。「諦めちゃダメだ! 見返してやるんだ!」。“なにくそ根性”を奮い立たせてくれた。
夫婦で折伏に歩いた。笑われることが多かった。「幸せになれる? おまえ、金もないくせに」って。そう言われても、勝章くんは「僕の宿業を切ってくれたんだね」って、涙を浮かべながら笑ってた。
信念の生き方をわが子に伝える
病気に悩む、勝章くんの友達への御本尊流布が実った直後、電話が入った。印刷会社からだった。
「ぜひ、うちで働きませんか?」
苦しんだ分だけ、御本尊様が大きな功徳をくださったんだね。
結婚して14年。私たちは感謝の思いで、毎年折伏に挑んできた。
池田先生は、家庭教育の指針で、「親の信念の生き方を伝えよう」と教えてくださっている。だから、仏法対話の場には、子どもたちを同席させる。話の内容が難しくて訳が分からなくてもいい。私たちの信念の生き方を見ていてほしい。
その中で、一昨年、昨年と折伏が実った。勝章くんは今、入会した友人と一緒に牙城会に入り、会館の安全を守る任務に就いている。
私も学会活動が大好き。週4日、聖教新聞を配達している。
幼い年子の2人を、前に抱っこ、後ろにおんぶして、会合に行った。お話を聞きたいけど、子どもがぐずってしまうことがある。会場の外に出て、あやしていると、婦人部の先輩が声を掛けてくれた。「よく頑張っているわね。こんな日は長く続かないから。大丈夫だからね」。温かい言葉に涙があふれた。
私が婦人部の合唱団で、おんぶしながら歌ってたからかな? 子どもたちも歌が大好き。実沙樹は、少年少女部の「北海道きら星合唱団」に入った。当時は反抗期だったけど、練習に通う中で穏やかになって。
卒業コンサートの時、みんなの前で私に手紙を読んでくれた。
「お母さん、いつもありがとう。反抗して困らせて、ごめんね。家族のために、仕事や家事、学会活動に頑張っているお母さんを、私は尊敬しています」。うれしくて、ビデオを撮りながら泣いてしまった。
知り、受け止め 認めてあげる
7年前、私の父が大腸がんで霊山に旅立った。その直後、私のおなかに新たな命が宿った。長男の英章。愛きょうのある英ちゃんは、3人の姉に愛されて、すくすく育った。
英ちゃんの変化に気付いたのは、3歳を過ぎた頃。急に走り出したり、大声で叫びはじめたり……。
なぜ、そんな行動をとってしまうんだろう。英ちゃんが苦しいなら何とかしてあげたい。だけど、病院で納得のいく答えを聞けなかった。
勝章くんと祈り抜く中で、いい医師に巡り合えた。「自閉症スペクトラム障がい」。診断が出た時、“これで英ちゃんの気持ちを分かってあげられる”ってホッとした。
たしかに、自閉症や発達障がいという言葉は重くのしかかる。でも、その事実を親が少しでも早く知り、受け止め、認めてあげれば、子どもが一番楽になる。本来の長所を守り、伸ばしていくことができる。
処方された薬を飲むと、英ちゃんは落ち着きを取り戻した。
幼稚園バスに向かう道。かつては、走る英ちゃんの背中を追い掛けた。でも今は、英ちゃんと手をつないで歩くことができる。
家では、英ちゃんと勝章くんが、お互いの服を着せ合いっこ。英ちゃん、自分の服も上手に着れないのに(笑い)。でも、2人の姿に、胸がジーンとする。負けないこと。互いを思い、支え合うこと。そんな「本当の幸せ」を教えてくれた池田先生に感謝しながら、わが子に信心の大切さを語り継いでいきたい。