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〈信仰体験 生きるよろこび〉 逆境も乳がんも笑い飛ばして 2019年6月9日 太陽のように 進もう 勝とう 「一番強いのは ただのおばちゃんです」

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〈信仰体験 生きるよろこび〉 逆境も乳がんも笑い飛ばして 2019年6月9日

 太陽のように 進もう 勝とう
「一番強いのは ただのおばちゃんです」

 

【兵庫県尼崎市】乳がんとの闘いは7年目に入った。古川美香さん(53)=北尼崎支部、支部副婦人部長=は闘病のことを話し始めると、「がんになって、ガーンでした!」と大きな声で笑った。落ち込むことは当然あった。それでも、深刻な表情より、笑顔の方がずっと多かったように思う。鳥取で生まれ、21歳から尼崎で暮らす。「根っからの関西人みたいでしょ? 病気も笑い飛ばして生きてます」

兵庫青年平和文化祭

 1987年(昭和62年)9月27日。神戸市のワールド記念ホールで行われた「兵庫青年平和文化祭」。この一大イベントの出演者4500人の青年部員の中に、兵庫に住み始めて半年しかたっていない古川さんもいた。
 テーマ曲「平和の世紀へ Let’s go sailing」が流れ、合唱が披露されると、第1景「時代は動く」に。
 ミュージカル風の演技で神戸開港の様子を表現する。着物姿の下町娘に扮した古川さんは笑顔で演じ切った。
 第2景、第3景と進みフィナーレへ。躍動する青年たちを会場で見守っていた池田先生は「素晴らしい青年の歴史ができた」と語った――。
 古川さんはあの日のことを忘れない。「21歳の私はまだ関西弁が話せなくて内気でね。『関西に慣れなあかん』と誘われたのがこの文化祭でした。何より、師との原点が築けた。ここから、私の兵庫での人間革命が始まったんです」

感謝ができること

 右胸の乳がんが判明したのは、2013年(平成25年)9月だった。47歳で初めて、死を意識した。“勝負の時だ”と奮い立たせても、恐怖心が拭えない。婦人部の先輩が飛んできてくれた。
 「絶対に負けたらあかんで!」
 関西に来て、何度も聞いた言葉が、深く心に染みる。先輩の真剣なまなざしが心に火をつけた。医学で病気は治す。その上で、真に戦う相手は、諦めや絶望が巣くう自分自身の弱い心。立ち向かう姿勢が定まった。
 部分切除手術を経て、治療はホルモン療法へ。ふとした時、再発・転移が頭をよぎってしまう。1カ月に1度から、3カ月に1度の検診になっても、心の中で格闘した。
 弱気に押し流されそうな時、家族や友人も支えてくれた。トラックの運転手として働く夫・正明さん(51)=副常勝長(副ブロック長)=の唱題する姿。長男・亮太さん(22)=男子部員、長女・彩さん=女子部部長=の応援がうれしかった。
 祈りの大切さを教わったのは、夫のおかげだった。かつて、人前で話すことが苦手な夫は、なかなか仕事が続かず転職を繰り返した。30代、家計はずっと火の車。「いいかげんにして!」。夫に強く当たったこともある。
 先が見えず、婦人部の先輩に相談した時のこと。「経済的に安定しなくて……福運がないんです」
 返ってきた言葉に目が覚める思いだった。「福運っていうのはね、お金があるとか、何か物に満たされているとか、そんなんではないんやで。悩みながら題目を唱えて、今の環境に感謝ができること。その人の心自体が“福運がある”っていうことなんやと思うで」
 やがて、家計は安定した。あの時も題目を唱えに唱え抜いて乗り越えられた。がんという病魔も乗り越えられないはずはない。
 “病気になったから、命の重みを知ることができた。時間の使い方も変わるんだ”。地区婦人部長として一層、地域を駆けた。

勝つか、負けるか

 病の判明から、1年後の秋だった。また右胸に、がんが見つかった。切除したが、不安が顔をのぞかせる。
 何度も読んだ池田先生の指導がある。「賢者はよろこび愚者は退く」(御書1091ページ)の一節を通しての言葉だった。
 「肝要は病魔と闘い切る心です。病魔に勝つか、負けるかです。病気などの苦難に直面した時は、実は、大きく境涯を開くための岐路に立っているのです」
 賢者になるのか。愚者となるのか。現実を直視しながらも、古川さんは、くよくよせずに生きると決めた。
 池田先生は随筆で「母の祈りは無敵だ。母の慈愛は海より深い。母の笑顔は、いかなる闇も照らし晴らす太陽だ」と記している。「太陽」が闘病する古川さんのテーマになった。“太陽のように、さわやかに朗らかに生きよう! 勝とう!”
 思い出す婦人部員がいる。文化祭の時、多くの裏方の役員に支えられる中、着物の着付けを担当した婦人。練習から当日まで、動きやすいよう心を配ってくれた。
 本番直前には、「頑張っといでや!」と背中をバシッとたたいてくれた。あの感触が忘れられない。悩むよりも、笑顔で友のもとへ。そんな生き方を貫いていきたい。
 ある日の会館。がんと闘う友と話をした。真剣な内容でも、心を沈ませたくない。いつも、笑いを織り交ぜて語らう。
 「なんで、がんになったんやろ……」――そう嘆く友に「私も最初は思ったわ」と、昔の自分のことにツッコミを入れながら話したりする。
 「でもな」――信心があるから流されないこと。大切なのは負けない自分を築くこと。そして、「私は、この病気があったからこそ、感謝が深まったで!」と――。
 現在、ホルモン剤を服用しながら、検診でも異常はない。元気そのものの姿は、「笑って、笑わせて。いつも漫才やってるみたい」と言われる。

30年後の青年大会

 30年前、青年部が池田先生との出会いを結んだ会場と同じ、神戸市のワールド記念ホール。2017年7月22日、代表1万人が集い、「兵庫創価青年大会」が行われた。
 冒頭、30年前も歌われたテーマ曲を少年少女部が合唱した。観客席の古川さんは、過ぎた年月を思うと、胸が熱くなった。
 フィナーレでは、ステージの最前列に長女・彩さんの姿が。中学時代は不登校に苦しんだ。泣きながら唱題する娘の背中を見たこと、『青春対話』を読み合ったこともあった。そんな娘が短期大学に進み、晴れやかな笑顔を見せてくれた。
 がんとの闘いは5年目に入っていた。30年前の出演者の子どもの世代に当たる青年たちの姿に励まされた。
 “そうや! 私も絶対に負けたらあかん。先生に、人生の勝利を届けるんや”。思わず、涙がこぼれた。
 「兵庫から、平和と人道と正義のスクラムを一段と強く大きく広げゆく、新航路を開いていっていただきたい」
 先生のメッセージを胸に刻んだ。
 悩みが尽きることはない。でも――「だから、人間は変わっていけます。、同志と生きているから踏ん張れます。どんな逆境もドラマに変えるのが、関西魂。そして、一番強いのは、ただのおばちゃんです」と、古川さんは大きな声で笑う。

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