我が愛する沖縄の友に贈る

私は沖縄を詩(うた)う
私は沖縄を愛する
私は沖縄に涙する
そして私は沖縄に
民衆の幸の凱歌の潮騒(しおさい)を聞く

かつて琉球王朝栄え
古(いにしえ)より薫り高き
固有の文化の花咲く沖縄
人には
おおらかなる海洋人(かいようびと)の気風があふれ
気宇は広大にして勇気猛(たけ)く
荒波を越えて
中国東南アジアの国々に渡り
大交易時代の要衝となる

平和を愛する心強く
義に厚く情また深く
難破せる異国の友を
救いもてなすこと数を知らず

ああされど
歴史の濁流はうるま島を襲い
圧制のくびきは始まる
過酷なる年貢に喘ぎ
嵐日照りあらば
毒もてるソテツさえ食いて
飢えをしのぐか

星ながれ時は移れば
あの大戦の惨禍あり
本土防衛の「捨て石」となり
緑の山河は血に染まり
この世に現じた阿鼻の叫喚(きょうかん)

戦火に逃げ惑う無辜(むこ)の民に
「鉄の暴風」は容赦なく吹き荒れ
砲弾は丘を崩し大地を砕き
火炎は壕(ごう)にこもれる兵士を母を
学徒を乙女を幼子を焼く
はたまた集団自決の命(めい)さえ下り
ついに二十万の尊き命を奪う

敗戦の後(のち)また悲しく
米国の統治の下(もと)基地の島となり
各所にミサイルの黒き影あり
あのベトナムへも
ここより爆撃機は飛び立っていった

ああ沖縄!
忍従と慟哭(どうこく)の島よ
誰よりも誰よりも
苦しんだあなたたちこそ
誰よりも誰よりも
幸せになる権利がある
そうなのだ
ここに安穏なくして
真実の世界の平和はない
ここに幸の花咲かずして
人の世の幸福はない

悲惨なる過去の歴史に
ピリオドを打て!
国土の宿命をば転じ
必ずや必ずや
この天地にこの島々に
常楽の民衆の都を創らねばならない