読者からの質問「“ギリギリ癖”を何とかしたい。どうしたらいい?」
2022年2月4日
電子版連載【駒崎弘樹の「半径5メートルから社会を変える」】〈20〉
連載「駒崎弘樹の『半径5メートルから社会を変える』」では、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに、さまざまな社会課題について聞きます。
今回のテーマは、読者からの質問で「“ギリギリ癖”を何とかしたい。どうしたらいい?」になります。
※今後、取り上げてほしいテーマを募集します。記事の最後に記載したメールアドレス宛てにお送りください。
■意志力だけに頼らない
――「締め切りギリギリにならないと行動できません。ギリギリ癖を何とかしたいのですがどうしたらいいですか?」という質問が寄せられました。
駒崎 質問、うれしいですね、ありがとうございます!
締め切り間近にならないと、なかなか行動できないというのは、私もよく分かります。ただ、これは別に悪いことではないというか。世の中の誰もが強い意志力を持つ人ばかりではないので、多くの人が大なり小なりそういった“ギリギリ癖”があるのではないかと思います。
――では、どうすればいいでしょうか?
駒崎 「性格を直す」のは難しいですし、大きな労力が必要です。であれば、「どのように進めていくか」という仕組みの部分を見直してみることで性格はそのままでも行動が変わっていくのではないでしょうか。
これは私もよく用いる手法なんですが、新しい締め切りをつくってみるのが良いと思います。最終の締め切りにどうしてもギリギリになってしまうのであれば、締め切りを前倒しして、中間締め切りを新たに設けるんです。
例えば、クライアントに対して「最終的な提出の前に、骨子となるものを○日までに提出します」と伝えます。そうすると、自ら設定した「○日までに」という新たな締め切りに向けて準備をするので、最終の締め切りにはしっかり間に合うように臨むことができます。
■ピア・プレッシャー(同調圧力)を生かす
――“事前の備え”があれば、最終締め切りの直前で慌てることは減るかもしれませんね。
駒崎 後は、とにかくやり始めることが大切です。目の前の作業を考えた時に、最後のゴールまでを見据えると、ものすごく長い道のりに感じるかもしれません。
しかし、大体の作業は、「0から1にかかる労力」と「1から2にかかる労力」を比べると前者のほうが大きくなります。その意味では、「0から1」のところさえ乗り越えてしまえば、後は結構、楽に進むことができるもの。ですので、まず一歩を踏み出すことが、結果として締め切りを守ることにつながるのだと感じています。
――それでも心配な人は……。
駒崎 締め切り日を、自分の中だけで設定するのではなく、他者と共有することも効果的です。クライアントに伝えることもそうですし、上司や仲間に期日を共有しておくことで、いい意味でのピア・プレッシャー(同調圧力)が掛かります。また、人に話すことで、「約束は破れない」と考えるようにもなれるでしょう。
締め切りを守れないのは、ある意味、「当然のこと」としておくといいのかもしれません。そう考えることで、新たな締め切りを設け、周囲とも共有しながら、最後にはきちんと間に合わせるというやり方ができるようになると思います。