正義

正義14 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年1月18日 更新日:

戸田城聖が学会の再建に踏み出した時、組織は壊滅状態に陥っていた。
そのなかから再出発した在家の団体が、戸田の指導のもとに年ごとに力を蓄え、七十五万世帯という未曾有の大折伏を展開しようというのである。
の眼を開いて見るならば、まさに、創価学会は、法滅の危機を救い、末法広宣流布のために出現したの団体であり、の集いであるという以外にない。
しかし、在家である創価が、喜々として広宣流布に邁進する姿を快く思わず、学会にはを授与しないという寺さえあったのである。
宗門には、信徒を下に見て睥睨する、悪しき体質が温存されていたのだ。
戸田は、そうした悪僧とは敢然と戦った。
もし、その悪を見過ごしてしまうならば、それは、やがて広宣流布を破壊する元凶となり、巨悪となっていくからだ。
「されば御僧侶を尊び、悪侶はいましめ、悪坊主を破り、宗団を外敵より守って、僧俗一体たらんと願い、日蓮正宗教団を命がけで守らなくてはならぬ」(注)というのが、戸田の精神であり、弟子への警鐘であった。
事実、学会は、正法正義を貫き、広宣流布を推進するために、悪侶とは徹して、宗門を守り、発展に尽くしてきたのである。
その学会にとって、忘れ得ぬ事件がある。
それは、戸田が第二代会長に就任した翌年の一九五二年(昭和二十七年)四月二十七日、の折の出来事であった。
戦時中、「神本仏迹論」を唱え、四二年(同十七年)秋に宗門から擯斥処分を受け、僧籍をはく奪されていたはずの謗法の僧・が、総本山大石寺にいるのを、学会員が見つけ出したのである。
「神本仏迹論」とは、一言すれば、神が本地で、仏は神の垂迹、すなわち仮の姿にすぎないとし、そこに日蓮大聖人の真意もあるとする妄論である。
をもって国論を統一して戦争を遂行する軍部政府に迎合し、大聖人の教えを根本から否定する邪説であった。

■引用文献
小説『新・人間革命』の引用文献  注 「創価学会の歴史と確信」(『戸田城聖全集3』
所収)

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