正義

正義29 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年2月5日 更新日:

一九七六年(昭和五十一年)の半ばごろから、山脇友政は、法主につながる人脈をもつ若手の僧らに、デマを流していった。
「学会は、いよいよと対決する」「宗門を乗っ取って、支配する計画だ」──いずれも〓で塗り固めた荒唐無稽な情報であった。
若手の僧には、になれる教師資格をもちながら、赴任する寺のない無任所教師もいた。
彼らにとって、その情報は、将来への不安と、学会への不信と憎悪を煽り立てる話であったにちがいない。山脇が、学会ので弁護士であっただけに、その言葉を真に受けたのだ。
これも後年になって明らかになるが、週刊誌などに、学会を中傷するための情報を流し続けていたのも、山脇であったのだ。
僧たちの理不尽極まりない学会攻撃に対して、学会の首脳幹部は、宗務院の役僧に抗議もした。
山本伸一も、事態の収拾を願い、学会のたちが考えたの原則を役僧に渡し、検討を求めたりもした。
しかし、学会を敵対視する僧らは、宗務院の指導には、既に耳を傾けなかった。むしろ、役僧たちにも、攻撃の矛先を向ける始末であった。
彼らの学会員への不当な仕打ちは、各地でますます激しくなっていった。
宮崎県の二十一歳の員は、最愛の母を亡くし、自宅での葬儀に宗門の僧を呼んだ。
母は、女手一つで彼と二人の姉を育てた。その母が大好きだったを、葬儀で流した。
僧は、吐き捨てるように言った。
「学会歌なんか流すな! 不謹慎だ!」
愕然とした。悔しさに震えが走った。涙で「母が、母が、大好きだったんです」と言って、テープをかけ続けた。
すると僧は、告別式が終わると、「火葬場には行かん」と言いだして、さっさと帰ってしまった。
「坊さんは、なぜ、来ないのだ!」
の人びとの声に身の細る思いがした。
肉親の死に乗じて学会員を虐げる。この宗門事件は、露になった悪侶らの、卑劣な人間性とのでもあった。

-正義
-, , ,

執筆者:

関連記事

no image

正義57 小説「新・人間革命」27巻

堺支部の幹部は、さらに話を続けた。 「経文に、御書に照らして、魔も、難も起こらない正法なんてありません。 難を避けるうまい方法はないかなどと考えてはだめです。覚悟を決めることですよ。 実は、魔にも、難 …

no image

正義48 小説「新・人間革命」27巻

戸田城聖の弟子である山本伸一も、広宣流布という創価学会の使命を、自身のこの世の使命を果たし抜くために、師弟の道を貫き通してきた。 師の事業が暗礁に乗り上げ、戸田が学会の理事長も辞任せざるを得なかった時 …

no image

正義14 小説「新・人間革命」27巻

戸田城聖が学会の再建に踏み出した時、組織は壊滅状態に陥っていた。 そのなかから再出発した在家の団体が、戸田の指導のもとに年ごとに力を蓄え、七十五万世帯という未曾有の大折伏を展開しようというのである。 …

no image

正義15 小説「新・人間革命」27巻

笠原慈行は、「神本仏迹論」を唱え、不敬罪で大石寺を告訴した。 それによって軍部政府は、果敢に折伏を行っていた学会に目を付け、弾圧を開始するにいたり、牧口常三郎は獄死することになるのだ。 戸田城聖は、笠 …

no image

正義4 小説「新・人間革命」27巻

山本伸一は、世界広宣流布を推進する一方で、世界の指導者たちと本格的な対話を重ねた。 特に、SGI結成の前年にあたる一九七四年(昭和四十九年)には、日中、日ソの新たな友好の道を開くとともに、中ソ紛争の解 …