正義

正義30 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年2月6日 更新日:

僧たちの仕打ちは冷酷であった。
福井県に住む員の夫が、信心することになった。夫人の念願が叶っての入会である。
入信の儀式の『御授戒』を受けるために、その夫妻に同行して、壮年・婦人の幹部も寺へ行った。
寺には、を敵対視するの影響を受け、学会を繰り返すようになった若者らが集っていた。
住職は、約束の時刻になっても『御授戒』を行おうとはせず、学会を誹謗し始めた。
「学会の会館に行ってもはない。寺に来てこそ功徳がある。そもそも、生きている時に寺へ来ないで、死んで厄介になろうなどというのは、おかしな話ではないか」
「そうだ!」と、若者たちが口々に叫ぶ。
付き添っていた幹部は、信心しようという人の前で、住職らと争う姿を見せたくはなかった。
『こんなことを言われて、入会の決意を翻さなければいいが……』と、ハラハラしながら、じっと耐えていた。
学会への誹謗は、四十分、五十分と、延々と続いた。遂にたまりかねて、壮年の幹部が強い語調で言った。
「『御授戒』は、どうなっているんですか!」
「なんや、おまえ!」
若者たちが、壮年幹部を取り囲んだ。緊張が走った。
住職は、『これはまずい』と判断したのか、ようやく『御授戒』を始めた。
こうした寺が増え、の多くが、寺へ行くたびに悔しさを噛み締めてきたのである。
は、学会員の苦渋の訴えに、胸をかきむしられる思いがした。 
「なぜ、罪もない学会員が、最愛の仏子たちが、こんな目に遭わなくてはならないのだ! 
もうこれ以上、同を苦しめたくはない! 学会員は、広宣流布の使命を担って出現した仏子である。
なればこそ、その方々を命がけで守るのが会長である私の務めである。断じ
て、断じて、守り抜かねばならぬ!」
広宣流布に生きる人を、仏に仕えるがごとく守り抜く。そこにの王道がある。

-正義
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