正義51 小説「新・人間革命」27巻
2014.03.03投稿
「三重文化合唱祭」の舞台は、婦人部の合唱「今日も元気で」となった。婦人部員の満面の笑みが開花し、あの限りなく明るく、軽やかな調べが流れた。
三重の婦人部員にとって、それは“喜びの歌”であり、“勝利の歌”であった。
皆、はつらつと、誇らかに、胸を張って熱唱していった。嬉し涙に目を潤ませて歌う人もいた。
真昼の太陽 身に受けて 汗にまみれて ペダルもかるく 幸せ求める 幾山河……
歌に合わせて、参加者の打つ力強い手拍子が広がった。
空は、雲に覆われていたが、婦人たちの心は、晴れやかであった。仏法という太陽をいだく人の心には、一点の雲もない。
午後の部には、宗門の支院長や住職ら僧侶と、その家族も招待していた。
山本伸一は、演目の合間には、隣の席にいた支院長に何度も礼を言い、歌の説明などもした。
「それぞれの学会歌には、皆の深い思い出があります。
──折伏に行って、誠実に、懸命に仏法を語り説く。しかし、水や塩を撒かれて追い返される。
時には終電車に乗り遅れ、一時間、二時間とかけて、歩いて帰らなければならないこともある。
その時に、学会歌を歌いながら、自らを鼓舞してきたんです。
みんなが、そうした体験をもっています。
学会員は、ただただ、広宣流布のために、死身弘法の心で生き抜いてきたんです。
私は、そこに、現代における如来の使いの姿を見る思いがします。
どうか、ご僧侶の皆さんも、健気な学会員を、衣の袖で包み込むように、慈愛を注ぎ、温かく励ましていただきたいんです」
伸一は、ありのままの創価の世界を、本当の学会の心を、真実の同志の姿を、全精魂を注いで、語り、訴えた。