正義

正義61 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年3月14日 更新日:

山本伸一は、露崎アキと聞いて、二年前に三重研修道場が中部第一総合研修所としてオープンした折の、彼女とのを思い起こした。
伸一がのメンバーなどをために構内を回っていた時、凜とした声であいさつをした老婦人がいた。
「先生! 露崎アキと申します。よろしくお願いいたします」
その時、三重の幹部から、彼女は地元の白山町の草分けとして、地域広布のの鍬を振るい続けてきたと聞かされたのだ。
伸一は、明治生まれの、この老婦人の手を取りながら言った。
「本当に、ご苦労様です。あなたの日までの苦闘が、研修所の完成として実を結んだんです。勝ちましたね」
すると露崎は、苦節の来し方を思い起こしたのか、目を潤ませた。
「尊い、“広布のお母さん”です。これまでに折伏はどのぐらいされたんですか」
伸一が尋ねると、彼女は誇らかに答えた。
「信心をした方は、百世帯は超えています。それ以上は、ちょっと数えきれません」
「そうですか! 偉大な功績です。敬意を表します。あなたのことは、一生、忘れません。
です。人びとののため、広宣流布のために流してこられた苦闘の汗は、すべて福運となります。
子孫末代までも繁栄していきます。
それが、なんです。御本尊は、一切をご存じですよ」
伸一のを聞くと、露崎の目から、涙があふれた。
──その露崎が入院中であることを、三沢宅で波多光子から聞いた伸一は、入院先の病院や病状について詳しく尋ねた。
そして、直ちに、伝言と見舞いの品を幹部に託した。
「瞬時」を逃さぬ、迅速な対応であった。
一つ一つの報告や情報に対して、いかに素早く、いかに的確な手を打っていくか
──そこに新しい価値の創造があり、一切を勝利へと導く力がある。
そして、その迅速さと的確さは、真剣さから生まれるのである。

-正義
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