正義

正義63 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年3月17日 更新日:

山本伸一を囲んでの「」は、一時間ほどに及んだ。
彼は、三沢光也・カツ子夫妻に見送られ、三沢宅をあとにした。
伸一は、この日の夜は、津市にある三重文化会館で、県の代表との懇談会に続いて、三重支部結成十八周年記念幹部会に出席することになっていた。
津に向かって、車が走り始めると、彼は、同乗していた三重県の幹部に言った。
「研修道場のある地域の、支部婦人部長のお宅は、わかりますか。
もし、ご迷惑でなかったら、短時間でも、御礼のごあいさつに伺いたいんです」
県の幹部は、腕時計を見ながら答えた。
「三重文化会館での懇談会もございますので、時間はあまりございませんが……」
「五分でも、十分でもいいんです。相手のご都合もおありでしょうから、玄関先のあいさつでも、一緒にお題目を三唱するだけでもかまいません。
今日を逃せば、訪問の機会はなくなってしまうかもしれない。
できる時にできることを、全力でやりたいんです。
失敗や敗北の、すべてに共通している要因は、できる時に、できることをやらなかったという点にあります」
劇作家シェークスピアは記している。
「いたずらに好機を逸するのは、その人間の怠慢だ」(注)
伸一も、まさに、そう感じていた。
同行していた県の幹部は言った。
「支部婦人部長さんは、多喜川睦さんといいまして、お宅は、この国道沿いにあり、すぐ近くです。
長年、自宅を会場として提供してくださっています。
その自宅を、最近、新築されたんです。
先生に訪問していただければ、大喜びすると思います」
伸一たちが、多喜川宅を訪れると、睦の義母と小学生の娘が、留守番をしていた。
義母は、「まあ、先生!」と、満面の笑みで伸一たちを迎え、仏間に通した。
「では、新築記念の勤行をしましょう」
伸一の導師で勤行が始まった。

-正義
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