正義7 小説「新・人間革命」27巻
2014.01.10投稿
学会は、万人に「仏」を見る日蓮仏法の正義を叫び続けてきた。
それは、戦時下での恒久平和への根源的な思想闘争であった。
だが、軍部政府の弾圧の嵐が創価教育学会を襲い、会長・牧口常三郎、理事長・戸田城聖らが逮捕されると、迫害を恐れて、多くの退転者が出たのである。
結局、不惜身命の決意で正法正義を守り抜いたのは、牧口と戸田の師弟だけであった。
二人は、取り調べの場にあっても、堂々と仏法を語り説いていった。
久遠の誓いに結ばれた二人の絆は、殉難のなかで金色の光彩を放ち、永遠なる創価の師弟の大道を照らし出していったのである。
牧口と戸田の、この死身弘法の大精神が、未来永劫に脈動し続けていってこそ、創価学会の魂は受け継がれ、広宣流布の清流が、大河となって広がっていくのだ
──そう山本伸一は痛感していた。
精神の継承なき宗教は、儀式化、形骸化、権威化して魂を失い、衰退、滅亡していく。
日蓮大聖人は「ただ心こそ大切なれ」(御書一一九二p)と仰せである。
人間の一念、精神にこそ、広布前進の原動力がある。
ゆえに伸一は、諸会合などで、両会長の闘争と精神を訴え抜くとともに、末法広宣流布のうえで、二人が果たした甚深の意義についても、さまざまな角度から言及していった。
そして、両会長の遺徳を宣揚するとともに、その精神と実践を伝え残し、継承していくために、全国の主要会館等に恩師記念室を設置するよう提案し、推進してきた。
思えば、牧口、戸田の師弟が刻んできた学会の歩み自体が、「宗教のための人間」から、「人間のための宗教」の時代の幕を開く、宗教革命の歴史であった。
日本の既成仏教は、長い間、政治権力に与してきた。特に江戸時代になると、寺請制度によって大きな力を得た。
これは、人びとは各寺院の檀家となり、寺院は寺請証文を発給して、キリシタンなど幕府禁制の宗教や宗派の信徒ではないことを証明する制度であった。