正義

正義9 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年1月13日 更新日:

牧口常三郎は、一九二八年(昭和三年)、日蓮に深く感銘し、日蓮正宗信徒として信仰の歩みを踏み出す。
しかし、牧口は、既教化した宗門の信心の在り方、つまり「寺信心」に甘んじようとしたのではない。
本来の日蓮大聖人の教えに立ち返り、その御のままに、真正の日蓮門下の大道を歩もうとしたのである。
一九三〇年(同五年)十一月十八日、牧口と弟子の戸田城聖によって、創価教育学会が創立される。
それは当初、仏法を根底とした教育改革を掲げてスタートする。
だが、教育に限らず、仏法こそ、「吾々の生活法の総体的根本的のものである」(注1)ことから、宗教革命を全面に押し出した活動へと移行していく。
四一年(同十六年)に創刊された創価教育学会の機関紙「価値創造」第一号には、同会の綱領が掲載されている。
そのなかには、次の一文も見られる。
「『慈なくして詐り親しむは即ち是れ彼が怨なり。彼が為に悪を除くは即ち是れ彼が親なり』といふ法華経の真髄に従ひ、化他によつての自行を励み以ての実証をなすを会員の信条とす」(注2)
そこには、自行のみならず、化他の、すなわち・弘教の実践が明確に示されている。
信教の自由が脅かされた戦時下で、学会は、折伏・弘教を活動の柱としたのだ。
まさに、を御遺命とされた日蓮大聖人の大精神の継承であり、途絶えんとしていた信心の命脈のであった。
さらに特筆すべきは、その活動の眼目を、「生活革新の実証」に置いたことである。
日蓮仏法の実践によって各人が生活を革新し、それぞれがかかえるを解決して、を築き上げていけることを、実験証明しようとしたのだ。
人びとの苦悩から目をそらした宗教は、既に死せる宗教である。悩める人びとに寄り添い、共に生きてこそ、真実の宗教なのだ。

-正義
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