練馬文化会館の開館記念勤行会 激闘10小説「新・人間革命」27巻

 人と会い、誠意をもって対話していくなかで理解が生まれ、やがて、信頼と共感が芽生えていく。ゆえに、広宣流布のためには、粘り強い交流と語らいが大切になるのである。

 しかし、一部のマスコミ関係者が、政治的な意図や悪意をもって、初めから学会を中傷し、攻撃することを目的に、接触してくるケースもあった。誠実に応対しても、善意は踏みにじられ、発言は、ことごとく悪用された。

 それでも山本伸一は、学会の真実を伝えようと、真心を尽くして、マスコミ関係者との語らいに努めてきたのである。

 同志のなかへ、生命のなかへ。今こそ、一人でも多くの法友と会い、広宣流布への新しき誓願と共戦の旅立ちをしよう――山本伸一は走った。

 五月九日には、東京・練馬区に完成した練馬文化会館の開館記念勤行会に出席した。

 伸一の練馬区訪問は、一九七三年(昭和四十八年)一月の記念撮影会以来、五年ぶりであった。

 練馬区は、四七年(同二十二年)八月、東京・板橋区から分離し、都内二十三区のなかで最後に誕生した区である。四七年の八月といえば、伸一の入会と同じ年の同じ月である。東京・信濃町から練馬に向かう車中、彼は、そのことを思うと、一段と練馬に親しみが感じられてならなかった。

 午後二時過ぎ、練馬文化会館に到着した。会館は、鉄筋コンクリート造りの白亜の四階建てであった。会館の前を高速道路が走る一方、会館の後ろには、野菜畑が広がり、のどかな景観が伸一の心を和ませた。

 車を降りた彼は、道を挟んで会館の隣にある、学会員が営む製茶販売店に顔を出した。

 店先に、茶が飲めるようにテーブルと椅子が用意されていた。伸一は、店の人や、居合わせた婦人らに声をかけ、懇談が始まった。

 即席座談会である。一人ひとりの近況に耳を傾け、ねぎらい、励ます。広宣流布の志あるところ、人が集えば座談会となる。