『魔競はずは正法と知るべからず』激闘14 小説「新・人間革命」27巻
2014.04.05投稿
山本伸一は、金田都留子に、人には宿命があり、日蓮大聖人の仏法によって、その宿命を転換し、崩れざる幸福境涯を築けることなどを諄々と語っていった。
彼は、多くの辛酸をなめてきたであろう、この婦人に、なんとしても幸せになってほしかった。
折伏とは、相手の幸福を願う、強き一念の発露である。
金田は、山本伸一という初対面の青年に、真心と信仰への強い確信を感じた。
暗闇に閉ざされていた心に、パッと光が差したような気がした。
「お願いします。信心をさせてください」
思わず彼女は、こう口にしていた。
伸一は、金田に、静かな口調で語った。
「この信心をすると、必ず周囲の反対に遭います。魔が競い起こってきます。
それは、日蓮大聖人が『魔競はずは正法と知るべからず』(御書一〇八七p)と仰せのように、大聖人の仏法が正しいからなんです。
したがって、勇気がなければ、信心を貫いていくことはできません。
その覚悟は、おありですか」
「はい!」
金田は、「毎日、死にたいと思っているような人生ではないか。
それが転換できるのなら、誰に反対されようが、絶対に信心を貫いてみせる!」と、固く心に誓ったのである。
しかし、彼女を座談会に誘った姉は、入会しようとはしなかった。
金田は、真剣に信心に励んだ。
ほどなく、長男の結核の進行が止まった。学校にも通えるようになった。
彼女は、そこに、仏法の力を感じた。欣喜雀躍して、日々、勇んで学会活動に飛び出していった。
功徳の体験に勝る力はない。体験は確信を生み、その確信に満ちた実践が、また新たな体験を生み出していく。
入会して間もなく、彼女は、地区講義で伸一の「立正安国論」講義を聴いた。
大きな衝撃を受けた。目の覚める思いがした。