「挑戦と前進を重ね、永遠の青年であれ」激闘20 小説「新・人間革命」27巻

金田都留子の個人指導ノートに記載された人の数は、一九七八年(昭和五十三年)春には、優に千人を超えていた。それは、幸せの大輪を咲かせた数でもあった。
一人ひとりの心に、勇気と確信の火を燃え上がらせ、広宣流布の使命に目覚めさせることこそ、最高の聖業といってよい。
この個人指導ノートは、彼女の誇らかな宝物となっていたのである。
友を徹して励まし抜く金田の地道な活動については、山本伸一も耳にしていた。
七八年五月九日、伸一は、練馬文化会館での懇談会で、金田に語った。
「努力の人、地道な人、誠実の人は強い。
必ず最後には勝つ。それが信心です。
幹部になっても、組織のなかを、うまく泳ぎ渡っていくような生き方では、境涯革命も、宿命の転換もできません。
広宣流布のため、学会のため、友のために、苦労を買って出て、黙々と頑張り抜いていってこそ、崩れざる幸福を築くことができるんです」
それから伸一は、壮年たちに視線を注いでいった。
そして、区次長で、かつて南新宿支部の支部長を務めた林田清夫を見ると、「どうぞ、こちらへ」と声をかけた。
林田は、五十代半ばで、やや小柄な丸顔の壮年である。
彼が前に出ていくと、伸一は言った。
「林田さんでしたね。あなたのことは、練馬を担当している幹部から伺っています。
よく頑張ってこられた。しかし、いよいよ、これからが本当の戦いです。
今まで培ってきた経験や実績は、皆のために生かしていかなければ意味はありません。
草創期を戦い抜いてきた人たちには、自分が教わったことや、自ら学んできたことを、しっかり後輩に伝えていく責任があるんです。
また、最後まで戦い抜いてこそ、人生の使命を果たすことができるんです。どうか、挑戦と前進を重ね、永遠の青年であってください。私もそうします!」