「ぼくは、創価学会に入会しようと思っている。君も一緒に信心しないか」激闘22 小説「新・人間革命」27巻

 座談会で言われたことを、林田清夫は、直ちに実行に移した。

 早速、座談会の帰りに、自転車店を営む友人の家を訪ね、こう切り出した。

 「ぼくは、創価学会に入会しようと思っている。君も一緒に信心しないか」

 友人は、怪訝な顔で尋ねた。

 「どんな宗教なんだ」

 「実は、詳しいことは、ぼくもまだわからない。しかし、神や仏によって救われるというより、自分のなかに仏の働きが具わっているという教えのようだ。本当にそうなのかどうかは、やってみなければわからない。君には、行動を起こす勇気があるかね」

 林田は、自分がこれまでに聞いた話を、すべて語った。

 彼に絶大な信頼を寄せていた友人は、しばらく考えていたが、やがて、意を決したように口を開いた。

 「君が、そう言うなら俺もやってみよう」

 林田は、〝よかった!〟と胸を撫で下ろした。実は、彼は妻が先に信心を始めていたとはいえ、入会することに躊躇があって、友だちを誘ったのである。

 ともかく、入会前に、弘教を実践したことは間違いなかった。

 林田は、自分が入会する日、地区部長との待ち合わせの場所に、新しい入会希望者を連れて姿を現したのである。

 地区のメンバーは、感嘆して語り合った。

 「人材だね。未来が楽しみだ」

 「大切に、しっかりと育てなければ」

 地区部長らは、林田に、信心の基本を徹底して教えた。一緒に活動に歩き、個人指導の在り方や仏法対話の仕方、御書に取り組む姿勢、また、連絡・報告の大切さなども語っていった。生真面目な林田は、乾いた砂が水を吸うように、それらを吸収していった。

 彼は、入会一カ月で組長になり、入会三カ月を迎えた時には班長になった。そして、やがて地区部長としても活躍するようになる。

 使命の自覚は、人を急速に成長させる。