「ぼくは、創価学会に入会しようと思っている。君も一緒に信心しないか」激闘22 小説「新・人間革命」27巻
2014.04.16投稿
座談会で言われたことを、林田清夫は、直ちに実行に移した。
早速、座談会の帰りに、自転車店を営む友人の家を訪ね、こう切り出した。
「ぼくは、創価学会に入会しようと思っている。君も一緒に信心しないか」
友人は、怪訝な顔で尋ねた。
「どんな宗教なんだ」
「実は、詳しいことは、ぼくもまだわからない。しかし、神や仏によって救われるというより、自分のなかに仏の働きが具わっているという教えのようだ。本当にそうなのかどうかは、やってみなければわからない。君には、行動を起こす勇気があるかね」
林田は、自分がこれまでに聞いた話を、すべて語った。
彼に絶大な信頼を寄せていた友人は、しばらく考えていたが、やがて、意を決したように口を開いた。
「君が、そう言うなら俺もやってみよう」
林田は、〝よかった!〟と胸を撫で下ろした。実は、彼は妻が先に信心を始めていたとはいえ、入会することに躊躇があって、友だちを誘ったのである。
ともかく、入会前に、弘教を実践したことは間違いなかった。
林田は、自分が入会する日、地区部長との待ち合わせの場所に、新しい入会希望者を連れて姿を現したのである。
地区のメンバーは、感嘆して語り合った。
「人材だね。未来が楽しみだ」
「大切に、しっかりと育てなければ」
地区部長らは、林田に、信心の基本を徹底して教えた。一緒に活動に歩き、個人指導の在り方や仏法対話の仕方、御書に取り組む姿勢、また、連絡・報告の大切さなども語っていった。生真面目な林田は、乾いた砂が水を吸うように、それらを吸収していった。
彼は、入会一カ月で組長になり、入会三カ月を迎えた時には班長になった。そして、やがて地区部長としても活躍するようになる。
使命の自覚は、人を急速に成長させる。