激闘25 小説「新・人間革命」27巻
2014.04.19投稿
一九七八年(昭和五十三年)五月九日、練馬区の代表との懇談会で山本伸一は、参加者の報告に耳を傾けながら、今後の会館整備などについて語り合った。さらに彼は、この日、発足した女子部の「練馬女子生命哲学研究会」の第二期生とも懇談した。
「広宣流布は長い戦いです。皆さんの人生にも、学会の前途にも、試練が待ち受けているでしょう。しかし、一人も退転することなく、『あの人は最後まで、よく頑張った!』と賞讃される、信心の女王になってください。
二十一世紀に、皆さんが婦人部の中核となって、さっそうと広宣流布の指揮を執られる日を、楽しみにしています」
伸一は、わずかな時間も、決して無駄にすることなく、激励に激励を重ね、矢継ぎ早に励ましの句も詠んだ。そして、練馬文化会館の開館記念勤行会に出席したのである。
「こんばんは! おめでとう!」
伸一の導師で、厳粛な勤行が始まった。
勤行を終えると、彼は言った。
「今日は、創価家族の集まりです。堅苦しい話は抜きにしましょう。私が司会をします。では、区の幹部の皆さんには、原稿なしで、あいさつをしてもらいましょう」
練馬長の大月敏は、原稿を見ることもできず、マイクに向かった。額に汗が滲んだ。
「この文化会館は皆様の真心の結晶です。天井の電灯も皆様方の信心の輝きです」
すかさず”司会”の声が飛ぶ。
「たいてい電灯は天井に付いているものなんです。当たり前のことです」
どっと笑いが起こる。
また、伸一は、会場にいたブロック指導員の高齢の男性に、「何かお話を!」と声をかけた。男性が文化会館完成の喜びと決意を語ると、「その心意気が大事です。今日は、あなたが”一日会長”です」と言って握手を交わし、自分の席に座るように勧めた。
彼は、学会は権威主義でも形式主義でもなく、皆が共に切磋琢磨し合う人間共和の世界であることを知ってほしかったのである。