激闘

“ひたすら諸君の成長を祈り、待っている”激闘4 小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年3月25日 更新日:

 は、グラウンドを回りながら、各方面の音楽隊長と握手を交わし、中等部の隊員を見つけると、歩み寄っては、両手を広げて、抱え込みながら語りかけた。

 「すばらしい演技でした。勉強もしっかり頑張って!」

 会場に設置されたバックパネルの足場から、顔をのぞかせている作業服姿の設営メンバーがいた。伸一は、大きく手を振り、頭を下げた。ヘルメットの下の顔がほころんだ。

 伸一は、額にも、首筋にも、汗を滲ませながら、何人ものたちと握手を交わしていった。全力で労をねぎらう彼を見つめるメンバーの目には、涙が光っていた。

 このあと伸一は、の会議室で、テレビ局や新聞各社の記者と懇談会をもった。

 記者の一人が質問した。

 「いつ見ても、学会の青年部はしているという印象があります。また、その青年たちと山本会長とは、深いで結ばれていることを実感します。

 会長は、どのようにして、青年たちとの信頼関係を培ってこられたんでしょうか」

 伸一は、静かに頷くと、語り始めた。

 「ありのままに、お答えします。

 私は、今日も、“ひたすら諸君の成長を、待っている”と言いました。また、“一切をバトンタッチしたい”とも語りました。青年たちに対する、その私の気持ちに、うそがないということなんです。

 私は、青年たちに、『自分は踏み台である。諸君のためには、どんなことでもします』とも言ってきました。事実、青年部を百パーセント信頼し、なんでもする覚悟です。

 また、青年に限らず、皆が喜んでくれるならと、たとえば、去年一年間で、色紙などに一万七百八十四枚の揮毫をしました。

 つまり、私は、本気なんです。だから、そのが皆の胸に響くんです。だから、心を開き、私を信頼してくれるんです」

 誠実という豊かな性の大地にこそ、信頼のは広がるのだ。

[2014年 3月25日]

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