激闘

「病によりて道心はをこり候なり」激闘8小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年3月29日 更新日:

苦闘は、精神を鍛え、人間力を培う父である。苦闘は、歓喜を生み出す母である。

 山本伸一は、記者たちに語った。

 「私は、青年たちに、苦闘を厭わぬ信念と哲学をもってほしいんです。苦労するのは辛いことです。しかし、自分の置かれた現実と、そこに横たわる困難を避けずに直視し、真正面からぶつかっていくことが大事なんです。のなかった偉人も、英雄もいません。

 苦悩は、鉄の精神をつくりあげる溶鉱炉です。人生の一つ一つの苦しみが、自身の向上の力となり、創造の源となっていきます」

 たとえば、も、人間完成への力としていくことができる。御聖訓には「病によりて道心はをこり候なり」(御書一四八〇ページ)と仰せである。病と向き合い、苦悩することから、それを克服しようとの強き信心が、熱き求道のが起こり、自己の成長が図れるのだ。

 仏法では、「生死即涅槃」と説く。苦しみ、迷いが、そのまま悟りとなるという法理である。つまり、苦悩があってこそ、悟りがある。大苦あってこそ、大悟があるのだ。

 日蓮大聖人はされた。

 「一切衆生の異の苦を受くるは悉く是れ日蓮の苦なるべし」(同七五八ページ)

 ここには、全人類のさまざまな苦悩をわが苦とされ、万人に成仏の道を開かれた御本仏の、大慈大悲の御が述べられている。

 その大聖人の御心を、わが心として立つのが、われら末弟の生き方である。

 自分のことだけを悩み、汲々としているのではなく、周囲の人たちと、あらゆる人びとと同苦し、苦悩を分かち合い、崩れざるの道を示すために、広宣流布に生き抜くのだ。

 あの友の悩みに耳を傾け、懸命に励ましの言葉をかける。この人に、なんとしても幸せになってほしいと、必死に仏法を語り、を送る――われらの健気なる日々のこそが、大聖人に連なる直道であるのだ。

 その時、自身の偏狭なエゴイズムの殻は破られ、の菩薩の、御本仏の大生命が胸中に脈動し、境涯革命の歯車が回転するのだ。

[2014年 3月29日] 

-激闘
-, , , , , , , , , , , ,

執筆者:

関連記事

no image

〝今に見よ!〟との一念で、一生成仏の坂道を!激闘27 小説「新・人間革命」27巻

山本伸一は、次のように話を結んだ。  「いかなる試練があろうとも、そのなかで苦労を重ね、同志を守り、仏道修行に励み抜いた人は、最後は必ず勝ちます。試練というのは、自分を磨き抜き、大きく飛躍していくため …

no image

“人生をいかに生きるか”激闘21 小説「新・人間革命」27巻

 林田清夫の入会は、一九五五年(昭和三十年)のことであった。その一年ほど前に、就職の世話や結婚の仲人をしてくれた同郷の先輩から、日蓮大聖人の仏法の話を聞かされてきた。先輩は学会の地区部長であった。   …

no image

法華経の行者の実践は無限の可能性を開こうとするもの。激闘32 小説「新・人間革命」27巻

 第六天の魔王は、智慧の命を奪うところから、「奪命」といわれる。また、「他化自在天」ともいって、人を支配し、意のままに操ることを喜びとする生命である。  その結果、人びとの生命は萎縮し、閉ざされ、一人 …

no image

「喜びとは、勝利それ自体にではなく、途中の戦い、努力、苦闘の中にある」激闘7 小説「新・人間革命」27巻

 山本伸一は、記者たちに、困難や苦労に立ち向かうことの大切さを語っていった。  「苦闘は、人間として大成していくうえで、必要不可欠です。それが、いかなる逆境にも負けない雑草のような強さを培っていくから …

no image

『魔競はずは正法と知るべからず』激闘14 小説「新・人間革命」27巻

山本伸一は、金田都留子に、人には宿命があり、日蓮大聖人の仏法によって、その宿命を転換し、崩れざる幸福境涯を築けることなどを諄々と語っていった。 彼は、多くの辛酸をなめてきたであろう、この婦人に、なんと …