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“悩力”を身につけることこそ、人間の道を究める条件 激闘9小説「新・人間革命」27巻

投稿日:2014年3月31日 更新日:

山本伸一は、苦悩することの意味に思いをめぐらしながら、記者たちに語っていった。

 「苦労せずしては、人の苦しみはわかりません。もしも、そんな指導者が社会を牛耳るようになれば、民衆が不幸です。だから私は、未来を担う青年たちに、『苦労しなさい』と言い続けています。人びとの苦悩がわかる人になってもらいたいんです。

 そのためには、自ら困難を避けず、勇んで苦労を引き受け、人一倍、悩むことです」

 人間が大成していくうえで、不可欠なものは、悩むということである。それが、自己の精神を鍛え、新しい道を開く創造の源泉ともなっていく。人間のもつさまざまな能力は、悩む力、いわば“悩力”の産物であるといっても過言ではない。したがって、“悩力”を身につけることこそ、人間の道を究めていくうえで、必須の条件といえよう。

 伸一は、次代を見すえるように、彼方を仰ぎながら語った。

 「私は、来年の五月で、会長就任二十年目に入ります。その意味では、この一年は、会長として総仕上げの年であると、心を定めております。後継の青年たちを、全力で育て上げていきます。全国を駆け巡り、会員の激励にも奔走していきます。

 この一年も、私の行動を見守っていただければと思います」

 伸一は、可能な限り、新聞記者など、マスコミ関係者の要望を受け入れ、懇談の機会をもつようにしていた。恩師である戸田城聖も、記者と直接会って、自分自身のことも、学会のことも、忌憚なく、ありのままに語ってきた。

 マスコミによる学会批判のなかには、記者たちが、学会や伸一のことをよくわからないために、誤解や偏見に基づいて書いた記事も少なくなかった。それらの誤解や偏見の多くは、直接会い、真実の姿を知ってもらうことによって、払拭していくことができる。

 彼は、そのために、自ら先頭に立って、語らいの機会をもっていったのである。

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