「いつも大切に持ち歩いているものがあるんです」。こう言って、世界的な絵本画家のワイルドスミス氏がポケットから取り出したのは、子ども用のばんそうこうだった▼氏のサイン会に来た女の子から、サインのお礼に渡されたという。子どもが大好きで、作品を通して「自分達の住んでいる世界の美しさを彼らに気づかせること」(野村道子訳)が大切と訴える氏の原点を、垣間見る思いがした。11年前の光景だが、今も鮮烈に心に残る▼参加した座談会で、「信心の原点」を語るコーナーがあった。毎回、参加者が楽しみにする企画。今回は、病と闘う婦人が半生を振り返った。彼女の原点は、池田名誉会長から青春時代に受けた「元気になるんだよ」との激励だった▼人生の歩みは「原点を輝かせる旅」ともいえる。が、自身を取り巻く環境が変化する中で、原点を持ち続けるのは容易ではない。現実に対応しているのだと自らに言い聞かせつつ、現状に流される例のいかに多いことか。原点を見失わず、一度決めた道を進む忍耐と努力が人をつくり、真の幸福を築く▼学会の原点は「11月18日」の創立記念日。今年は、軍部権力と戦い抜いた牧口初代会長の「殉教70年」にあたる。不滅の記念日へ、足元から平和のスクラムを。(側)
2014年 9月30日