詩聖・杜甫の像に寄す 「随筆 新・人間革命」364 2003-12-19付
2003.12.19投稿
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ともあれ、詩は「志(し)」である。胸中に湧き上がる烈々たる志(こころざし)をもって、人間の心を動かし、社会を動かすのだ。
それは、第一次の宗門事件の烈風が吹き荒れ、学会の悪戦苦闘が続いていた昭和54年11月のことであった。
その日、私は、神奈川で、深く信頼する若き闘魂の弟子たちと懇談した。
席上、一人の青年が“師弟共戦”の誓いを述べ、皆で歌を歌いたいと言った。
そして、20人ほどの凛々しき青年たちが、音吐朗々と歌い上げてくれたのだ。
「一献歌(いっこんか)」――西南戦争に参加した中津隊の若者たちを歌ったものである。
♪男の子じゃないか
胸を張れ
萬策つきて敗るとも
天あり地あり師匠あり
君 盃をあげ給え
いざ我が伴(とも)よ 先ず一献
青年たちは、長大な原詩から数聯(すうれん)を選び、一部、歌詞を変えて歌ったようだ。若き歌声は、厳粛に響いていった。
その歌を聴くと、微笑む恩師の顔が、私の胸に迫った。
「いい歌だ。もう一回」――結局、何度もアンコールした。
正義の師弟ある限り、天地が無窮であるように、断じて行き詰まりはない。反転攻勢して、必ず勝ってみせる!
私の心は、厳然と晴れやかであった。
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【「随筆 新・人間革命」364/聖教新聞 2003-12-19付】