9月23日は少年少女部の日 子どもの「生きる力」を育もう【社説】

 「『ありのまま』に悩み、祈り、また胸をはって挑戦していく――そうすることで、自分の心がみがかれる。心の中の宝物が光っていく。きみの、あなたの『いいところ』が、必ず見えてくるのです」――池田名誉会長は「少年少女きぼう新聞」今月号の連載で語り掛けた。

 明後23日は、「少年少女部」の結成記念日。1965年(昭和40年)のこの日、同部は高・中等部に続いて誕生した。高・中・少の未来部は、名誉会長の”手作りの組織”である。

 当時、未来部を結成した趣旨について、名誉会長は「大勢の先輩、よき相談相手が周囲にいれば、安心して自分の人生行路を決めていくことができる。若芽が未来に、スクスクと伸びゆくための応援をしていくこと」と述べている。

 確かに、実際の人生行路は、平坦ではないだろう。「子どもの貧困」が社会問題となっている昨今では、過酷な現実のただ中に、どれほど多くの子どもたちが立ちすくんでいるか計り知れない。

 だからこそ、現代の子どもたちには、何があってもたくましく「生き抜く力」を身に付けてほしい。また、そのために惜しみなく支援するのが、大人の責務であろう。

 ”人類の教育者”ペスタロッチの研究で著名な黒澤英典・武蔵大学名誉教授がかつて、本紙「文化」欄で語った視点は示唆に富む。氏の調査によれば、子どもたちの「居場所」づくりではなく、彼らが主人公として必要とされる場所=「要場所」づくりに取り組んでいる地域では、子どもの「生きる力」を育む地域の教育力が明らかに上がった、という。

 実際、未来部でも高・中・少合同の部員会を行う際、年長の高等部員を中心に、子どもたちが主体的に企画・運営している地域には、人材育成の力強い流れが生まれている。先の論考とも符合しており、興味深い。

 相手の限りない可能性を信じ抜き、生命を触発する温かい関わりを粘り強く続ける「学会精神」は、あらゆる人材育成の根幹に通じるのだ。老いも若きも、だれもが、それぞれの持ち味と知恵を存分に発揮し、どうすれば子どもたち一人一人が「生き抜く力」を自ら育んでいけるかと考え、新たな挑戦を起こしたい。

 本年新設された各地の未来本部長、また未来部長を中心に、わが地域における”新しい未来部育成の歴史”を築きゆく、実り多い秋としたい。