「国民的アイドル」と呼ばれるほどの人気を博し、
社会現象となったAKB48。CDは飛ぶように売れ、軒並み音楽業界の記録を更新している。
先日の第4回「選抜総選挙」も大きな注目を集めた。
価値観が多様化する日本の中で、なぜAKBはこれほど多くのファンを獲得できたのだろうか。
あるマーケティングプランナーは、
「何も加工されていない生の人間の、人並みはずれた成長を見せる」とのコンセプトが成功したのだと分析する(村山涼一著『AKB48が ヒットした5つの秘密』角川書店)。
今は華々しく活躍するAKBも、出発は地味だった。
2005年12月、秋葉原で行われた第1回公演に集まった一般客は、わずか7人だったという。
オーディションで選ばれた素人が、自らの課題と向き合い、「夢を叶えたい」「ファンに応えたい」と努力を重ねる。
身近にいそうな、普通の女の子たちの真剣さ、ひたむきさが、幅広い世代の人々の心を動かしているのではないだろうか。
また、メンバーの中にはメディアの脚光を浴びる人もいれば、そうでない人もいる。しかし、それぞれが個性を生かしながら、切磋琢磨を続けている。
「一生懸命に頑張って、成長していく」「自分らしく輝く」――ある種の閉塞感、無力感が漂う時代だからこそ、こうした生き方が新鮮な感動を呼んでいるのだといえよう。
仏法では「桜は桜、梅は梅、桃は桃、李は李と、おのおのの当体を改めず、そのままの姿で無作三身(本来ありのままの仏)と開きあらわしていくのである」(御書784㌻、 通解)と説く。
花々が独自の美しさを持つように、私たちもまた、個性を生かした「ありのままの姿」 で、無限の生命の可能性を開いていくことができるのだ。
何か「別の人間」になるのではない。 「他人の華やかな姿」を追い求めるのでもない。
広宣流布のために祈り、語り、行動する中で、自身の心が磨かれ、鍛えられていく。
わが 生命が最高の輝きを放っていく――こうした生き方にこそ、真の充実と歓喜があると仏法は教える。
ゆえに私たちは、わが使命の舞台で成長のドラマを演じ切りたい。
自身の夢の実現へ挑み続けたい。
その「人間革命」の連帯が、社会をも変えゆく力となる。(貴)
(「創価新報」2012年6月20日付11面)